今から2年前の2021年11月、まだJDS(Japanese Dark Spirits)シリーズおろか、「煌星」という商品をリリースしました。
この「煌星」は、SHOCHUXによる初の樽熟成酒であり、特徴的なボトルデザインや先進的な価格帯により、いままであまり焼酎を飲まなかった方々に商品を手にしていただく機会が多く、飲んでいただいた方からは「焼酎の概念を覆された」「全然焼酎ではないみたい」という感想を多数いただき、これは大変嬉しい反響でした。
しかし嬉しい反面、この「煌星」という商品は、本格焼酎の色規制内でいかに焼酎の麹由来の特徴を土台としながら、その上で樽熟成による香り/味わいの豊かさを"焼酎"として共存させるかというのをテーマにブレンドして造りあげました。自分自身、これは焼酎の枠を超える新しい味わいだとは全く思っていませんでした。
その煌星をリリースし、商品を通して伝えたかった事と市場の反応のギャップに直面して、少しの葛藤を抱えていたその頃、ある衝撃的な原酒に出会いました。
SHOCHUXもわたくし橋本が、一人の焼酎ファンとして始めた事業であり、それまでも多数の焼酎や他の蒸留酒類を飲んできました。しかしこの原酒に出会って、私自身が「概念を覆されました」
それが今回リリースする[Nikkei2000]です。この1本は国産ウヰスキー樽で23年熟成させ、2年の期間を経て、ついに皆様にお披露目する時が来ました。
これまでにない盛り上がりをみせているジャパニーズウイスキー。そんなウイスキーもかつては、ワインや焼酎ブームに押され、今では考えられないほど不人気で、数ある工場が閉鎖を余儀なくされました。その閉鎖の際に隣町から譲り受け、ウイスキー産業の衰退の波を乗り越え翌年からこの樽で熟成を始めました。
本格焼酎のアルコール度数の規制は44度未満、そしてシングルディスティルド(1回蒸留)が特徴でもある焼酎は西洋のスピリッツのように複数回蒸留をしないため、度数がそこまで上がりません。カスクストレングスにみられるようなハイプルーフ樽熟成酒は樽由来の風味を最大限引き出します。対して本格焼酎は44度で樽詰め(カスクエントリー)せざるを得ない為に、それが難しいとされています。そして焼酎の樽熟成の歴史はウイスキーなどに比べても新しく、その分野における技術の蓄積はまだ浅いと言えます。しかし今回のニッケイ2000を飲んだ時「これは!」と思わず唸りました。出会って2年経ちますが、あの衝撃は今日まで1度も忘れたことはありません。上述した焼酎の樽熟成の課題を乗り越え、新しい可能性を示しているとも思います。
ジャパニーズウイスキーは20年前からがらりと変わり、今では圧倒的不動の地位を築き上げ、世界中の熟成酒ファンを魅了しています。そんな彼らが焼酎蔵に託した、置き土産で熟成を重ねたニッケイ2000は、Japanese Dark Spiritsが世界へ飛び立つ象徴であり、わたしたちの希望そのものです。日本の熟成酒の歴史を感じていただける貴重な一本をこうして皆様にお届けできることを嬉しく思います。ぜひこの機会に、怒涛の23年の味わいを体験いただければと思います。